2. 幼馴染みは出会い頭からオカシイ

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「今日からテストだって聞いてたから、早目に迎えに来たんだ」 「……うん、それで?」 「でも、校門でうろついてるのも怪しいしつまんないから、校内に侵入して隠れて待ってよって思って。若菜、驚くかなって」 「……ん。まんまとビックリしたよ。お兄ちゃんの提案?」 「んっ。やっぱ驚いた? 俺って判んなかったろ?」  スキップし始めるかのような勢いすら感じる、楽しそうなあーちゃん。  お兄ちゃんがにやにや笑っている姿も見えるようだ。この兄弟は、面白いことに目がないのもそっくりで、二人揃うと碌でもないことしか考えない。    ただ、そんな裏も表もない『ただ、あーちゃん』とでもいうべき真っ直ぐなところは、昔からある沢山の長所の1つだ。  あーちゃんのそういうところがみんな大好きだった。 「でもあーちゃん、今日学校は?」 「今日は自主休講」 「そんなの、さすがに認められてないでしょ」 「認められてはないけど見逃されているんだ。テスト直後だしな」 「めちゃエリートとか言われてんのに、実態はスゴいね」 「そーそー。できる奴はアホみたいに頭良いけど。生徒数が多いから、落ちこぼれも多いわけ。エリートとか言ってんの外の奴だけだよ。 そっちがゴリラ女子的お嬢様学園なのと一緒」 「ひどッ! 学園生を目の前にしてよく言えるね」 「ぁあ、で。その五十嵐さんが変な顔してうろちょろしてるのが見えたんだ」  その、五十嵐さん!!  真咲、ゴリラ認定されてる!!
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