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「今日からテストだって聞いてたから、早目に迎えに来たんだ」
「……うん、それで?」
「でも、校門でうろついてるのも怪しいしつまんないから、校内に侵入して隠れて待ってよって思って。若菜、驚くかなって」
「……ん。まんまとビックリしたよ。お兄ちゃんの提案?」
「んっ。やっぱ驚いた? 俺って判んなかったろ?」
スキップし始めるかのような勢いすら感じる、楽しそうなあーちゃん。
お兄ちゃんがにやにや笑っている姿も見えるようだ。この兄弟は、面白いことに目がないのもそっくりで、二人揃うと碌でもないことしか考えない。
ただ、そんな裏も表もない『ただ、あーちゃん』とでもいうべき真っ直ぐなところは、昔からある沢山の長所の1つだ。
あーちゃんのそういうところがみんな大好きだった。
「でもあーちゃん、今日学校は?」
「今日は自主休講」
「そんなの、さすがに認められてないでしょ」
「認められてはないけど見逃されているんだ。テスト直後だしな」
「めちゃエリートとか言われてんのに、実態はスゴいね」
「そーそー。できる奴はアホみたいに頭良いけど。生徒数が多いから、落ちこぼれも多いわけ。エリートとか言ってんの外の奴だけだよ。
そっちがゴリラ女子的お嬢様学園なのと一緒」
「ひどッ! 学園生を目の前にしてよく言えるね」
「ぁあ、で。その五十嵐さんが変な顔してうろちょろしてるのが見えたんだ」
その、五十嵐さん!!
真咲、ゴリラ認定されてる!!
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