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別に、真咲や私たちがゴリラみたいな顔つきをしているという訳ではない(多分)。
ただ、ガッシリした体格の肉体派は確かに多い。男子がいないので力仕事もみんな率先してやるし、部活動が盛んで体育会系な雰囲気も強い。
そんな理由で、橘女学園生が『橘ゴリラ』と自虐する伝統(?)があり 、真咲もやはり、長身で筋肉質という典型的な橘ゴリラだった。
だからって、普通にゴリラと呼ばれたい訳では全くない。
しかも『変な顔してうろちょろ』って……花の女子高生に向かってその言語選択、ホントにあーちゃんは容赦ない。
「若菜がいないって探してた。いつもいる屋上に鍵が掛かってるって」
「あ…真咲にも開けられなかったんだ」
「ぁあ。俺も駄目だった」
「えっ、それじゃどうやって」
驚く私に、ニッと人懐っこい笑顔を溢すあーちゃん。
「数珠で開けたの」
言いながら、あーちゃんは鞄を探って見せてくれる。
細い色白の手には、陽の光を反射して煌めく、粒が大きめな透明の数珠が握られていた。
私に見せた後、それを左腕に嵌めながらあーちゃんは続ける。
「うち、仏教系の学校だから、そーゆーのに詳しい坊さんがいてさ。そのじーちゃん先生にもらったんだ。で、怪しげな呪文とかも習った。まぁ、それはおまじない程度だって言われたけど」
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