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どこまで詳細を説明すべきだろう。
彼の言動を思い出すと、それだけで顔に熱が集まる気がする。
言葉にして私の口から話すなんて、抵抗があるにも程がある。しかも相手は幼馴染みだ。遠慮のないストレートな反応が怖い。
「あーっと……」
「ん?」
「ん、今まで何のアクションもなかったのに、突然、話し掛けてきて……。あ、痛いことはされてないんだけどね」
「ふーん? まぁしかし、これからどう豹変するかわかんねぇから、もう屋上には行くなよ?」
「……そうだよね」
「ん? 行きたいのか? そういや、顔馴染みってのも妙な関係だな。随分親しげじゃん」
「あはは、そんなことはないよ。今まで、ホント何にもアクションのない人だったんだ。」
「人? 人型なんだ」
「うん。それに、私も結構図太くなったから、安心して!」
あーちゃんと繋いでいる手とは反対の手を上げて、力こぶを作るように肘を曲げる。
大丈夫だよ!と伝わるように笑ってみた。
あーちゃんも、それに答えるようにゆっくりと笑ってくれる。
天真爛漫全開ないつもの笑顔も美少女姿にピッタリ合っていたけれど、深い慈悲を滲ませる柔らかな微笑みが、今はまるで聖母マリアのようだ。
眩しく感じるのは、きっと日光のせいではない。
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