57人が本棚に入れています
本棚に追加
今では、『母親のお友だち』というより『私の一番の理解者で相談役』だ。
あーちゃんと疎遠だった間も、梨花さんとは1、2ヶ月に1度くらいの頻度でお茶していた 。
その契機になったのが、この、ガーネットのネックレスだった。
「見せて」
あーちゃんが促すように手を出すので、自分の不手際に打ちのめされながらもそれを出す。
「袋に入れてんだ」
「ん。学校では禁止されてるから」
そうだよなぁと軽く笑いながら、
「出して良い?」
とこちらを見たあーちゃんに、私も軽く頷く。
あーちゃんはゆっくりと私と繋いでいた手を離し、大事そうにネックレスを袋から出して、手のひらに転がした。
折り畳んであった革紐が伸びてあーちゃんの手から垂れたけれど、赤い石はあーちゃんの手の中によく馴染んでいる。
あーちゃんが、ホッとするように、ゆったりと息を吐きながら呟いた。
「……石が温かい」
思った以上に話が繋がって、またあーちゃんの反応も良く、それがひたすら嬉しい。
「ずっと胸ポケに入れてたからね」
「むねぽけ……ッ」
その私の返答に反応しましたと言わんばかりに、跳ねるように顔を上げ、あーちゃんはまた視線を私に向けた。
呆けた顔が間抜けで可愛い。
私もあーちゃんに笑顔で応える。
途端にあーちゃんの表情がぎこちなく崩れ、視線を私から外してしまった。
最初のコメントを投稿しよう!