2. 幼馴染みは出会い頭からオカシイ

17/19
前へ
/313ページ
次へ
 今では、『母親のお友だち』というより『私の一番の理解者で相談役』だ。  あーちゃんと疎遠だった間も、梨花さんとは1、2ヶ月に1度くらいの頻度でお茶していた 。  その契機になったのが、この、ガーネットのネックレスだった。 「見せて」  あーちゃんが促すように手を出すので、自分の不手際に打ちのめされながらもそれを出す。 「袋に入れてんだ」 「ん。学校では禁止されてるから」  そうだよなぁと軽く笑いながら、 「出して良い?」 とこちらを見たあーちゃんに、私も軽く頷く。  あーちゃんはゆっくりと私と繋いでいた手を離し、大事そうにネックレスを袋から出して、手のひらに転がした。  折り畳んであった革紐が伸びてあーちゃんの手から垂れたけれど、赤い石はあーちゃんの手の中によく馴染んでいる。  あーちゃんが、ホッとするように、ゆったりと息を吐きながら呟いた。 「……石が温かい」  思った以上に話が繋がって、またあーちゃんの反応も良く、それがひたすら嬉しい。 「ずっと胸ポケに入れてたからね」 「むねぽけ……ッ」  その私の返答に反応しましたと言わんばかりに、跳ねるように顔を上げ、あーちゃんはまた視線を私に向けた。  呆けた顔が間抜けで可愛い。  私もあーちゃんに笑顔で応える。  途端にあーちゃんの表情がぎこちなく崩れ、視線を私から外してしまった。
/313ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加