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「いやっ、そんなっ、そーじゃ……そーゆーんじゃなくてっ!」
「ん?」
「石が反応してるのかなって思ったのっ!」
「反応?」
「……ちゃんと若菜を守ってんのかなって」
「ぁあ……そっか。私が温めてると思ってたけど、私が温められてたんだね、ずっと」
自然、あーちゃんの掌でテカテカと紅く煌めいている小さな石に見入る。
今改めて見るガーネットは、前に見たときよりもほんのり優しい印象だった。
あーちゃんの指がゆっくりと閉じて、その手が私へと伸びてくる。
その流れに乗せられるように両手を揃えて開くと、その真ん中へ、ペンダントが返された。
革紐も丁寧に折り畳んでくれるあーちゃん。
「ガーネットは、日光で浄化される。袋に入れっぱなしにしないで、時々はちゃんとつけろよ、首に」
「よく知ってるねぇ。私も梨花さんにそう聞いたから、休日はちゃんとつけてるよ」
「そっか。良かった」
言いながら、あーちゃんが私の掌からまたペンダントを取ったと思ったら、そのまま紐の輪を広げて私の首へと掛けてくれる。
「ホントは、数珠みたいに沢山連なっていた方が効果はあると思うんだけどな。ケチくさかったよな」
私のペンダントは、細い革紐に一粒だけ、親指の先くらいの石が通っているものだ。
「え、そんなことないよ。ペンダントがあると思うとそれだけで頑張れたし、袋を触って何度も落ち着けたよ。大事なものは、1つで十分なんだよきっと」
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