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先生がいなくなり、何となく流れでずっとベッドにいた私も今は二人の横にならんで床に座っている。
リッツ用の各種ディップと一緒に飲み物も運んできてくれた母には、起きて大丈夫なのかと聞かれてしまった。
帰宅時の私の様子は、そんなに体調悪そうだったのか……確かに、何だかバタバタとベッドにつれてこられて無理矢理寝かされ、説明すら満足にしていない。
一階のリビングで梨花さんと話す声が聞こえたので、すべてお任せしてそのまま寝てしまったのだった。
心配かけていたことすら気付かなくてごめん、という母への申し訳なさと、心置きなく優美たちと話すための布石として、部屋を出ていく母へ無駄に元気を訴えて、見送った。
「あのさ、結局、朝の霊と先生に取り憑いてた(?)霊は、同じなの? 今はどうなったの?」
これおいしーわぁ、と、クリームチーズやらピーナッツバターやら付けながらリッツをむさぼる真咲が、その合間に尋ねてきた。
母は『その時の気分で選ぶ』のが大好きなため、収集癖の気がある。私はあまり冒険しないタチだけれど、こういう時はそのおこぼれに預かれて有り難い。種類が豊富なだけで何だかテーブルが華やかだ。
分厚いサンドイッチに頑張ってかぶり付く優美にも視線を送りながら、私が屋上の彼のことをサラリと説明すると。
「私は、屋上のは見えなかったんだけどさ。最近、妖怪みたいのをよく見るんだわ」
呟く、優美。
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