第1章

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息苦しさの中、目覚めたのは観たことしかない場所だった… 「あぁ、疲れたぁ…」 そう愚痴をこぼす俺は仕事終わりに、仕事場にある喫煙所で煙草に火を付け、如何にも高級でした感丸出しのソファーにだらしなく座る。 「はぁ… 」 ため息を付く俺は、母方の叔父が紹介してくれたホテルのレストランで勤めていた。 このホテルはそこそこ有名で、周りの人達からは良いところに勤めてるねと、ちやほやされたものだ。 だが勤めてもう6年目を過ぎ、働いてる人達のなかでは中堅層に入る。 入社当時なら、初めての経験に目を輝かせて?仕事を熱心にやっていたものだが、今は月毎に変わるメニューの管理、厳しくなっていく衛生面のオペレーション、先輩や上司との人間関係、新しく入ってきた新人育成、上げたら細かくなるので割愛するが、様々な仕事が俺をストレスで蝕んでくる。 「何かいいことないかなぁ…」 これが最近の口癖になっていた。 元々明るく悪戯好きの人見知りと言う意味の解らない性格をしてると思っているのだが、社会に出て人間のルールを体験していく内に、無い物ねだりやネガティブ思考が追加されてしまったようだ。 煙草を吸いきり一呼吸をして立ち上がり、帰宅するために愛車、もといクロスバイクに乗り家へと漕ぎ進む。 自宅へは約25分の道のりで疲れた体には凄く長い時間に感じられた。 なのでいつも煙草を吸いながら帰っている。 家に着くと服を脱ぎ散らかし、バタン、キューと擬音が聞こえてくるように布団に倒れ込みそのまま意識を手放してしまった。 それが人生の分岐点とも知らずに……。
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