第1章

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「さぁ此処は何処だ…。」 目に映る景色は木、樹、花、華、葉菜、所謂森林と呼ばれるものだろう。 風が流れて葉擦れの音と共に俺を風が包む。 (気持ちいなぁ…そして凄く綺麗な場所やなぁ……。って和んでる場合か!。) 脳内で一人乗り突っ込みしている。 「にしてもリアルな夢やな。いつもならテロップの様に流れる感じなんだが。夢じゃ無かったりして。」 何も起こらない状況に、思考を深めようと何時ものように煙草を吸おうとポケットに手を突っ込む。 (良かった。無かったらどうしようかと思った) 幸い着ている黒色のジャケットにある内ポケットに煙草とジッポが入っていた。 (さて、この状況はどういう事か…。物凄い神秘的な場所で煙草を吸っている。あれか!って思い付く人間関係もないし、漫画やラノベ的な状況に成りました、なんて有るわけないし。考えても仕方ないかぁ……はぁ……。) 結局解らない事は仕方ないと思い、煙草を吸いながら辺りを眺める。 (家の近くにこんな所あったら、毎日来るやろうな。) 今いる場所は、四方を木々に囲まれてはいるが、少し開けており、それを埋める様に様々な花が咲き乱れている。 (昔やったゲームにこんな場所あったなぁ。確か鈴蘭やったけど。) 煙草を吸い終わると、このままでは何も進まないと思い立ち上がる。 (この場所を離れるのは惜しいが、仕方ない。夢じゃ無かったらまた来ればいいか。) 宛もなく森の中をさ迷い続けて幾時、時計を身に付ける習慣が無かった為に数時間も歩き続けているような感覚がする。 その中で1つの考えが浮かんだ。 (これが巷で噂の遭難ってやつか…。さ迷う夢を見るときって、リアルの何かで迷ってる暗示だったような。おもっきし当たってるけどなぁ。) 別に退屈な訳ではないのだが、時間の流れの解らない状況で、少し落ち着かない。 そのせいか、くだらない思考が今はありがたかった。 更に歩き続けると、沢にたどり着いた。 それと共に違和感を見つける。 その違和感は沢の流れに逆らって20メートル先にあり、熊の図体をした狐らしきものに、倒れ込まれている女性だった。
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