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好天とは呼べない曇り空。微かに射し込む日差しの下に身を寄せる。
吹く風は冷気を帯びていたが不思議と寒さは感じない。袖を捲り、腕を出した状態で過ごしていた。
「はっはーーっ、どうだ見たか! これが貴様らの馬鹿にした最近の若造の実力だ!」
「く、くそぅ…」
プラスチック製の棒を手に持ち大声で叫ぶ。目の前にいる老人に向かって。
「まさかあの痛風の彦六さんが負けるなんて…」
「あやつ……何者じゃ!」
公園には数人の人物が存在していた。スポーツに励んでいた爺さん軍団と、ベンチに腰掛けている数名の小学生が。
「これに懲りたらこの場所を独占しようだなんて考えるなよ」
「くっ…」
「公園は市民の憩いの広場。誰もが自由に足を運べるベストプレイスであるべきなんだよ」
「む、無念じゃぁぁあぁあぁぁぁっ!!」
落ち武者ヘアーの爺さんが泣き崩れる。悔しさを表すように地面を殴打しながら。
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