氷解

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「お嬢様...?」 「そうよ...いつだって、周防は....私を子供扱いする。今も、私を子供扱いして...男を誘惑することも出来ない子供だと、私を馬鹿にしているのね...」 「なにを...」 「私は、男とキスだってした事もある...雅美みたいに周防を誘惑することだって出来るわっ! 子供だって、馬鹿にしないでっ!」 感情を爆発させてしまった陽菜子。 「子供扱いしないでよっ!」 と、悲痛の叫び声を上げ放ったのだが、周防は目を見開いていた。 「お嬢様...今、キスをした事が...あると仰いましたか?」 「ええ」 陽菜子が挑むような視線を周防に向けて答えると、周防は無表情のまま低い声を放った。 「誰とですか? もしかして、さっきの男ですか?」 周防のその低い声。怒りを堪えていたのだが、それに気づかない陽菜子は 「そうよ...」 ふてくされるように、聡とキスをしたと答えた。 怒りを堪えながら、周防は追及するように陽菜子に聞く。 「どんなキスをしたのですか? 大人のキスをしたというのですか?」 「え...?」 陽菜子には大人のキスというのが、よくわからなかった。 聡とのキスは、啄むようなキスを二回した。 周防が聞く、大人の官能的なキスとは違うのに、聡とのキスがそうなのかもしれないと、思った陽菜子は 「ええ、そうよっ!」 と答えたのだがーーー 周防がチッと舌打ちをして 「ほう...お嬢様は大人のキスをした。子供じゃないというのですね」 と鋭い眼光で陽菜子を睨みつけたから 「え……?」と小さな声を漏らして周防の眼光に気圧され、たじろいでしまった。
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