氷解

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「す……周防……も、もう、やめ……」 「まだだ……」 ゆっくりだったその動き。 止めない動きが、徐々に加速されて、 「俺の名前、知ってるか?」 周防が陽菜子に問う。 コクンコクンと首をふる陽菜子。 「ん、んん……た……貴文……あぁっ」 と、必死に喘ぎながら答えると、周防がフッと笑った。 「陽菜子……達(イ)キ狂えと言っただろ?」 ニヤリと笑う周防は 「俺の名前を叫びながら、陽菜子………達(イ)ケよ」 と、言って陽菜子の胸に手を伸ばし、頂きにある実を摘んだ。 「んはっ、あぁ」 胸の頂きの実を刺激しながらも、抜き差しする二本の指の動きは止まらない。 そして刺激はその二本の指だけじゃなかった。 親指を、亀裂の中にあるもうひとつの実を擦ったから 「ひゃあぅっ!」 悲鳴を上げて、陽菜子は周防の両腕にしがみついた。 「ほら……呼べよ」 「あっ、ああ、あっ、あっ」 「俺の名前を呼べ」 全身を覆うかのように激しい快感が陽菜子に襲いかかる。 助けて! 「た……貴文っ!貴文!」 周防の名前を叫び 「もう、ダメ……壊れちゃう!」 と懇願したのに。 「俺の名前を呼びながら、達(イ)キ狂って壊れろ」 と、陽菜子の身体を絶頂に導かせていく。 「思いっきり、達(イ)ケ!」 とーーー周防は快楽のるつぼに、陽菜子を突き落とした。 そこで、陽菜子は………完全に意識を失った。 ーーーーー柔らかいベットの中で、陽菜子は微睡む。 頭を撫でる、優しい手。 陽菜子ーーーと、掠れたような切ない声に、 ……夢? 現実か夢か、わからない。 でも、それを打ち破ったのは スマホの着信音と 「ーーーはい」 周防の声。 あ………。 周防が電話に出たのがわかった。 でも、目が開けれずに、そのまま目を瞑る私の耳に、スマホの相手の声が漏れて聞こえた。 『陽菜子は、どうしている?』 ーーー父の声だ! なぜ……父が? それも、私の事を聞いている。 まるで周防との出来事を知っているみたいで……ドキドキする私とは、正反対に周防がいつもの冷静沈着な声を出した。 「お嬢様は、いつも通りでございます」 『なんだ、相変わらず貴文くんに懐かないのか?』 父はいつも周防と呼んでいるのに、どうして貴文くんと言っているの? どうして……?
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