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嘘を見抜かれたとわかっても、陽菜子は周防に意地を張った。
「嘘じゃないわっ! 私が聡さんを誘ったのよっ! 私は周防のせいで自由がなかったの! それが嫌だった!」
「お嬢様……」
「周防は私に自由を与えない。なのに周防は……」
雅美と周防の姿を思い浮かべだった陽菜子は
「私はダメって……いかがわしい事をしている周防に命令されたくないっ!」
「はっ? いかがわしいって…私が……ですか?」
「周防と雅美が外で会ってる事も知ってるわ! キスだって、してた! 私には眼鏡姿で真面目な格好で……でも、周防は眼鏡を外して別人みたいな格好で……雅美とキスしていた!私だって、周防みたいに、違う格好で……男を誘惑出来るわ」
周防にやつあたりも同然に叫んでいた。
周防が私を子供として、見る。
なのに、周防は雅美のことは大人の女として見ている。
陽菜子にとって、それが嫌だったのだ。
本当は雅美に嫉妬していた陽菜子。
あんな、熱い瞳で雅美を見る周防にも腹がたっていた。
「周防なんて、嫌い!」
なんて、嘘。
ホントは好きなんだって気づいてる。
だけど、陽菜子の口から出るのは……嫌いと言う言葉。
周防は顔を歪めて
「私の事をお嫌いですか……」
切なげに陽菜子を見た。
だけど、意地を張り続ける陽菜子は
「嫌い……」
と、また、周防を嫌いだと言ってしまった。
「そうですか。では、あの男の方が良いのですね」
「………」
意地を張りすぎて、陽菜子は違うって、もう言えなくてーーーー黙り込んでしまう。
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