COCONE SIDE

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おじいちゃんが中々、帰ってこない私にしびれを切らして死にそうだとひと芝居打った時だ。 そうとは知らずに冴子さんやニックにも協力してもらいあわてて帰国したんだっけ。 そしてピンピンしていたおじいちゃんに元気な顔を見せれた私はまた直ぐニューヨークへと戻る前に デザイン事務所NAGOMUへと足を伸ばしていた。 もちろん、オフィスに入るつもりはないから影からこっそり覗き見る。 かなりの不審者だ。 それに師匠が来るとも限らないし… それでも、向かいたかった。 あの場所に行くだけで師匠を感じられるんじゃないかなって……。 そんな淡い期待すら抱いてしまうほど、本当は会いたかった。 そんな思いを秘め、オフィスの影から覗く私。 「来ないなぁ…」 飛行機の時間もあるし限界だな。 いい加減諦めてそろそろ行こうとした時、見覚えある真っ赤なスポーツカーがスーっと前を横切った。 その一瞬で胸がキュッと締め付けられる思いがする。 不思議な事に私には走りすぎる様がゆっくりとゆっくりとしたまるで、スローモーションの様に見えた。 「師匠…」 少し赤みがかった茶色に染められていた髪は真っ黒になっていて前よりも落ち着いた感じに見えた。 少し頬が痩けてた? ちゃんと食べているのかな… 師匠…… このまま師匠の胸に飛び込めたなら……… だけど、今の私は中途半端なままだ。 これじゃぁ、師匠には会えないよ………。 私は後ろ髪引かれる思いでその場を後にした。
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