第1章

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快晴の青空。 秋の学校で。 ただひとつ違うのは、ここは異世界。 魔女の学校だということ。 「……ミチエ」 魔女である母親の名前を唸りながら言い、俺はサッサと元の世界に帰ることにした。 自分をこんなところに置き去りにした、母親の意図がわからない。 魔女たちに見つかったら大騒ぎになる。自分は魔女と人間のハーフだがそれ以前に男だ。魔女たちに見つかったら面倒意外のなにものでもない。 「タクミさん」 げっ、見つかった。 しかも俺を知ってる? 「確かに俺はタクミだか、君は?」 「一度、お会いしました。あちらで」 あぁ、ミチエが俺に恋人をあてがうために、出会ったひとりか。 「覚えてくれてないんですね」 魔女である彼女は少し拗ねた顔をした。 今はあちらの学校の制服となんら変わりない服を着ているが、俺が初めて会った時は全身黒づくめのフードコートを纏っていた。 「黒いフードコートで誰が誰かわからなかった」 俺は素直に打ちあける。 と、魔女は小さな笑いをもらした。 「あれミチエ様の発案なんです。魔女に出会ったらどういう反応をするか、魔女ぽっくいこうと」 (ミチエ!) 俺の心は母親に悪態をついた。 どの面さげて会いにくるか、楽しみにしていよう。 「悪いな。覚えてなくて」 「いいえ。もう一度お会いできたので、帳消しです」 「そうか? 名前を教えてくれるか?」 「どうして?」 「名前がわからないと呼べないだろう。あんたとかになっちまう」 「……スイです」 「スイか、改めてタクミだ」 俺は自分足元に魔法陣を出現させると、スイに向かって手を振った。 「ありがとうな、スイ。騒がないでいてくれて」 大きな瞳が大きくひらかれる。 「いえ……」 「じゃ」 言って、俺は魔法陣を発動させた。 戻ってきたのは、こっちで俺が通っている学校だ。 ちょうど誰もいない理科室に出現したようだ。誰もいなかったらいいものを、誰かいたら大騒ぎになる。
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