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「朝帰りとはね?随分仲がいいのね?」
黒川はそんな事を言って奇妙に笑う。
「ああ…うん、ごめん。色々考えたのだけれど、やはり人間を殺戮していく方針を大事にしていきたいと僕は思うよ」
「ふふ…そう?哀川くんがそう思うのならそれでわたしはいいわよ。栗原さんもいいわね?」
亜美ちゃんはどうでもいいとでも言うように、部屋の片隅を眺めながら「いいよー」と言う。
「おれは反対だ。哀川、そんなんじゃ駄目だ。人間に擬態して生きていこうぜ?どうして殺す必要がある?」
「山田。貴方は黙っていなさい。…でも、そうね、どうしてそういう結論に至ったのか知りたいものね」
僕は反バグの所へ山田と行った経緯を話し、此処に辿り着くまでにバグを綿棒真剣というふざけきった技で殺戮した事を話した。
「それで僕は思うのだ。こんな危険分子を放っておいてはいけない。僕達が平穏に生きていく為には邪魔である。除外すべきであると思うのだ。僕は黒川や亜美ちゃんのように強くは無いし、あいつらに勝てないかもしれない。でも、君達なら倒せるだろう?そうだろう!?」
経緯を話しているうちはうんうん頷いていた二人であったが、僕の考えを述べると何処か上の空で頷きもしなかった。山田に至っては座り込んで溜息を吐いている。
「哀川くん。話を聞いた限りだと、その反バグの人達と一緒に居る方が得策じゃない?勿論、わたし一人でもその人達を殲滅する事が出来ると思う。でも、どうしてその必要があるのかしら?」
どうして?そんなのは僕を馬鹿にして嘲り踊らさせたからだ。これでは駄目か?おかしいか?いいじゃないか、人間なんて殺してしまえば。
「どうしてそんな事を言うんだ?黒川。人間なんて殺してしまえばいいじゃないか」
「そう…。分かったわ。では一度その人達に会いに行きましょう。外で待っているのでしょう?」
「あ、ああ…。シャイな女の子だから大勢で行く訳にはいかないと言って待たしてある」
「…ところで哀川くん。殺されたバグの数は何匹だったのかしら?」
殺されたバグの数?そんな事聞いてどうする?ああ、何々の仇と言って殴るのだな。
「確か、丁度五十匹じゃなかったかな」
「五十匹。丁度ね」
そんな事を言う黒川に付いて僕達は屋敷から出た。
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