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「お。出てきよったで。遅いで哀川くん~」
佐藤は門の外で手を振りながら叫ぶ。
黒川は門の開閉ボタンを操作して開けた。
「お久しぶり」
「おお、元気そうやな。どうや調子は?」
え?知り合い?
「コオロギ。どうだった今回は?」
「まあまあ楽しめたかしら。ってもう終わりなの?」
「そう、それが彼の考えのようね」
終わり?いったい何の話だ?
「おいおいおいおいっ!おれまだぜんぜん活躍してねぇんだけど?ナイフ無くして綿棒真剣使っただけなんですけどぉ!」
「五月蝿いわよ、北村。貴方は容姿はいいけれど、五月蝿いのが難点ね」
「まあ、いいじゃないか。北村。次に期待だ」
「泰三さんはそういう事、ぜんぜん気にしないっすよね~!でもホント毎回毎回同じ結論に至るなんて面白いよなぁ」
毎回毎回…?
「そうね…。でもその方がやり甲斐があるじゃない?今度は違う答えが。きっと違う答えが。と思いたいじゃない。その方が面白いと思わない?ねえ…哀川くん」
「…黒川…?さっきからいったい何の話をしているんだ?いや、そもそも知り合いなのか?何がどうなっているんだ?」
黒川は僕の言う事など耳に入らなかったかのように言う。
「いちよう言っておくわよ。哀川くんは人間を殺戮したいんですって」
お、おい…そんな事を言ったら…。
予想に反して大爆笑。
「そ、そうか。哀川くん。人間殺したいんかっ!そら、そらええなぁ…!でも、残念やったなぁ。人間はもうおらんのよ。わいらがぜーんぶ殺してもうたからなっ!あ、でも一人残っておったわ!誰やったかなぁ?コオロギ、誰やったかなぁ?」
「社長。意地悪しちゃ駄目よ。可哀相じゃないの。ふふ…」
「そうね…。これは今回親友役を務めた山田から言って貰った方がいいわね」
「…哀川。おれはお前と居て楽しかったよ。お前が人間と共存すると考えてくれればおれ達はこのまま続けるつもりだった。でももう仕方ないな。終わりだよ。お前が願う通り、この時間は終わりなんだよ」
「なにが…いったいどういう…」
「佐藤さんが言った通りだ。人間は死んだ。生き残りはお前一人なんだよ」
え…?
「あの裏切者がおらへんかったら、全滅やったんやけどなぁ。あいつらが哀川くんの事好きになってしもうて、生き残ってしもたんやわ。あ、さっきの五十匹な」
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