第1章

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 教室の戸を開けるとそこには僕の席に座る黒川泉。 「黒川さん、君のクラスは此処では無いよ。退きたまえよ」 「あら、ご挨拶ね。哀川くん」  見ると黒川泉は原稿用紙に何か書いていた。 「何書いてるの?」 「ちょっと小説をね」 「ふぅん…。文学?」 「どうかしら?まあ人間の事よ」 「そ。じゃあそれは自分の席でやってくれたまえ」 「そうね。そうするわ」  そう言って彼女は席を立って教室から出て行った。  と思ったら再び戸を開けて言う。 「哀川くん、人生楽しまなくちゃね…?」  それだけ言って魔性の女、黒川泉は去って行った。  何を当たり前の事を言っているのだろう?生きているのだから楽しむよう努力する事は当たり前じゃないか。  僕は教室で一人、妄想に耽る。
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