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教室の戸を開けるとそこには僕の席に座る黒川泉。
「黒川さん、君のクラスは此処では無いよ。退きたまえよ」
「あら、ご挨拶ね。哀川くん」
見ると黒川泉は原稿用紙に何か書いていた。
「何書いてるの?」
「ちょっと小説をね」
「ふぅん…。文学?」
「どうかしら?まあ人間の事よ」
「そ。じゃあそれは自分の席でやってくれたまえ」
「そうね。そうするわ」
そう言って彼女は席を立って教室から出て行った。
と思ったら再び戸を開けて言う。
「哀川くん、人生楽しまなくちゃね…?」
それだけ言って魔性の女、黒川泉は去って行った。
何を当たり前の事を言っているのだろう?生きているのだから楽しむよう努力する事は当たり前じゃないか。
僕は教室で一人、妄想に耽る。
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