1人が本棚に入れています
本棚に追加
お日さまの光がやさしくふりそそぐ真っ白な雲の上、ここは神さまの住む天国です。
青く光る水で満たされている小さな池に浮かぶ蓮の葉の上に、神さまの子のノンモが横たわり、スヤスヤと寝息をたてています。
すると、そこへ、ノンモのお姉さまの、ノンノ姉さまがやってきました。
「ノンモ、起きてください! お母様がお呼びですよ!」
ノンノ姉さまが大きな声でいいましたが、ぐっすりと眠っているノンモは起きる様子がありません。
「ノンモ、おっきして!」
なかなか起きないノンモに、ノンノ姉さまは怒ったように大声をあげたので、ノンモはファーッとあくびをして、目を覚ましました。
「どうしたの、ノンノ姉さま。大きなお声を出されて…」
ノンモがまだ眠たげに目をこしりながらいうと、ノンノ姉姉さまはあきれたように腰に手をやり、
「お母様がお呼びですよ! 早くお母様のところへ行かなければ、お母様にしかられてしまいますよ!」
といったので、ノンモはさすがにハッキリと目を覚まし、「お母様が!?」と、声をあげました。
「知らないから! 早く、お母様のところへお行きください!」
ノンノ姉さまはそういうと、雲の丘のお花畑のほうへ歩いて行ってしまいました。
「お母様にしかられる…」
ノンモは悲しげにつぶやくと、ベソをかきながら、蓮の葉の上をビョンピョンととんで、雲の上へとびうつると、お母様のいらっしゃる御殿の方へ走って行きました。
ノンモがベソをかきながら、御殿の方へ走っていると、一匹の色あざやかな、チョウチョがヒラヒラと飛んできたので、ノンモは「チョウだ!」と声をあげ、チョウチョを追いかけはじめました。
もう夢中でチョウチョを追いかけたので、お母様に呼ばれていることなど、すっかり忘れてしまいました。
「チョウチョ、チョウチョ、どこ行くの!」
ノンモは歌いながら、チョウチョを追いかけて行くと、お父様とお母様から、行ってはならないといわれている、雲のはじへ走って行くと、雲のうすいところからまっ逆さまに、人間の住む世界へ落ちていってしまいました。
チョウチョはヒラヒラと、お花畑の方へ飛んで行きました。
最初のコメントを投稿しよう!