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人間の町
人間の町は、今日ものんびりしています。静かな住宅街にある一軒家の子供部屋で、一人の男の子が仰向けに寝そべって、あれこれと空想していました。
そこへ、おばあさんがやってきていいました。
「今日は、いい天気だよ。おもてで遊んできな!」
おばあさんは、最近、おもてに出ない孫を心配していったのですが、男の子は、おばあさんを無視するように、何もいいませんでした。
おばあさんは、イライラしたように「買い物に行ってくるよ!」というと、家を出ていってしまいました。
お父さんもお母さんも働いているので、家には男の子一人になってしまいました。
男の子が空想していると、どこからかヒューンと音が聞こえ、庭の方でドスーンと、何かが落ちる音がしました。
男の子は驚いて、2階にある自分の部屋からとびだし、1階へ降りてサッシを開けてサンダルをはいて庭へ出ました。
すると、庭木のすみに2本の短い足がのび、じたばたと動いているのを見て、男の子は人がうまっているのかと思い、2本の足をつかみ、思いきり引っ張りました。
2、3回引っ張ると、土の中からスポッと小さな体が出てきました。それは、神さまの子のノンモだったのです。
「いたい…いたいよぉ…」
ノンモが頭をおさえて泣いていると、男の子は「大丈夫?」といって、ノンモの頭をなでながら、ノンモにたずねました。
「ボク、タカシってゆうんだ。君、空からふってきたの?名前は、何てゆうの?」
「ボクは、天国の神さまの子のノンモってゆうの。雲の上の天国から落ちちゃったの…」
「天国? 神さまの子?」
タカシと名乗った男の子は、目を白黒させて、ノンモに聞きかえしました。
「そうだよ。ボクは、天国の神さまの子のノンモだよ!チョウチョを追いかけてたら、雲のはじから落ちちゃったの…」
「それは、本当? 君、神さまの子なの?」
タカシ君が怪しいというように、また聞き返したので、ノンモは少し怒ったようにいいました。
「そうだよ! 神さまの子のノンモだよ!」
すると、タカシ君は、ノンモをためすようにいいました。
「君が神さまの子なら、証拠を見せてよ」
「しょうこって…?」
ノンモが人さし指をくわえてつぶやくと、タカシ君がいいました。
「君が神さまの子だってことが本当のことか、何かをしてみせてってこと!」
すると、ノンモは、ウーンと考えこんでしまいました。
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