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タカシのいたずら
「ねえ、タカシ君、どこへ行くの?」
歩きながら、ノンモが聞くと、タカシ君がいいました。
「いつもボクのことを吠えて脅かす、田中さんちのボスってゆう犬のとこだよ」
「そのボスのところに、何をしに行くの?」
ノンモがたずねましたが、タカシ君は意地悪そうに笑い、「いいから、いいから!」といいました。
二人がしばらく歩いていると、ボスのいる田中さんの家へやってきました。
田中さんの家の門のかげから、そっと玄関のほうを見ると、玄関の前にリードでつながれたボスが、赤い舌をベロベロ出して横たわっています。
「ほら、あれが、ボスだよ」
タカシ君がささやくように、ノンモにいいました。
「ちょ、ちょっと怖いな…あの犬、怖いよ…」
ノンモはそういって、小さな体をふるわせました。
「あのボスを浮かしてから、地面に落とすんだ! ノンモ、できるだろ?」
「え、ちょっと、かわいそうな気がするな…」
「いいから、早くやってよ!」
タカシ君にせかされて、ノンモは、仕方なく「やってみるよ」とつぶやくと、胸の前で両手をあわせ、
「ノンノンノン…」
と、つぶやきました。すると、寝そべっていたボスの体がフワリと浮き上がったので、ボスは怖くなって足をじたばたさせながら、キャン、キャン、と鳴きました。
「今だ、落とすんだ!」
タカシ君がそういったので、ノンモは神力を使うのをやめたので、ボスは地面に落ちて、ギャウンと鳴いて、辺りをキョロキョロと見回し、体をふるわせました。
「やった!」と、タカシ君はうれしそうに声をあげましたが、ノンモは何だかいやな気分になってしまいました。
「よし、次、行こう!」
調子にのったタカシ君は、ノンモを連れて歩きはじめました。
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