夏霧に濡らされて

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私のいない間に注文した料理は食べられていて残念な表情を隠せない。 「電話長ぇよ、マメ。なぁお前、ゴールデンウィークはカレンダー通りの休み?」 メニューに手を伸ばしたモリに、今年はカレンダー通りだと答えた。 「みんな休み合うんだよ。4人でさぁ遊園地行こうぜ」 はしゃぐモリの姿に中嶋くんも紘子も笑っていて、昔からある街の外れにある寂れた遊具しかない地元の遊園地の名前を口にした。 「えぇ?!あそこまだやってるの?壊れそうじゃない?せっかくなんだから、車出して有名な所に行こうよ」 親に連れられて行ったのは小学生の低学年くらいまで。大人びてくると幼稚な遊具よりも、離れた県にあるテーマパークに憧れた。 「連休なんて高速も混むだろ? 今、あのゴーカートに乗ってみろよ。他じゃあ味わえないスリルがあるって」 前歯を見せて笑うモリは昔と変わらない。 「あはは。あのS字カーブを攻める?まぁな。あそこなら金もかからないし、つまんなかったら他に行けばいいか…」 中嶋くんまでモリの提案を面白がっている。 「海の近くでしょ。真亜子、日焼け対策しなきゃね~」 「紘子行くつもりなの?!」 ドラッグストアでモリに会ってなきゃ、私は家で一人でくよくよしていたはず。 恋人に甘えたりもしたいけど。 「じゃあ、決定だな」 昔のままでいてくれる友達とお腹から声を出して笑ったりも悪くない。
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