夏霧に濡らされて

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んもうモリってば…… 俯いてスマホに目を落としていた私は少し頬を膨らませていた。 「ゴールデンウィークの予定?楽しそうね」 「…あ、」 近づく人影、その声の主に信じられない気持ちだった。 「近ちゃんから聞いてるかしら?あなた、連休明けからウチの案件の一つに付いてくるんでしょ?」 課長の計らいで、忙しい夏目さんが担当するマンションのリフォーム物件のアシスタントを任されることになっている。 傍でその話を聞いていた近藤さんは「羨ましい」を連発していた。 「打ち合わせは全て私がするし、貴女に特にしてもらうことはないんだけど…」 明らかな不満を浮かべられて耐えきれずに目を伏せた。 「まぁいいわ。仕事はキチンとしてね?」 私の返事する声は音にならない。 「…ねぇその予定、相手はオトコ?」 パンツスーツの爪先が動く気配がなくて、質問されている意味も解らない。 恐る恐る目線を上げていくと、返事を待つ夏目さんの片方の眉が上がる。 「いえ、中学時代からの…友達です」 「ふーん。貴女にもいるのね、そういうのが」 仕事ができても、貴女みたいな人にはなりたくないです!……とは口に出して言えるはずもなく、言われっぱなしでその場に突っ立っていた。
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