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「で、俺たちは事件の捜査に協力すればいいんですね?」
俺が言うと、警部はその通りだと答えた。その返答に俺、槙田久は少しだけ不安を感じていた。
ここ数週間、奇妙な出来事ばかりに巻き込まれている。おおよそ、非日常ともいえる現象や事象に遭遇し、少しばかり今回は大丈夫だろうかと不安を感じてならないのだ。
しかし俺の気持ちとは裏腹に、同僚である関根寛は目を輝かせている。警部はその様子を見てあのな、と呆れ気味に言うと、
「今回は”人員不足による捜査協力”なんだからな?そんな、遠足前の小学生みたいに目を輝かせるんじゃない……」
「ですが警部!あの”特犯係”と共同で捜査なんて、自分にとっては夢みたいなものなんです!誰であろうと、この興奮を抑えることはできません!」
鼻息荒めで寛が言うと、警部はさらに大きなため息をつく。俺も同じようにする。
「まあ、今回は槙田もいる。その上”柴田警部”が捜査の指揮を行うらしいから問題はないだろうが……」
「おお!あの柴田警部ですか!それは楽しみです!」
さらに興奮度を増した寛。警部は俺に任せたと言い残し、目頭を押さえながら立ち去った。
やれやれ、またおしつけられたか。そう思いつつ俺は寛に、
「ほら、早く警部の所に行くぞ。あの方は時間に厳しいって聞いたからな」
「おう、そうだったな。いきなり雷落ちないよな~……」
「それはお前次第だろうさ」
俺はそう言うと、寛とともに”特犯係”の部署へと向かった。
ここで特犯係について、軽く紹介しよう。
特犯係、正式名称は”警視庁刑事部捜査一課特殊犯罪捜査係”だ。責任者は先程名前の出た、柴田恭平警部でその下に2人部下がいるだけである。
主に彼らは特殊犯罪、いわゆる”人が起こしたとは思えない”犯罪を捜査し、それの犯人が”人間”なら逮捕、そうでないなら排除、沈静化を目的としている。
そのため彼らには様々な特権があり、部下2人は俺たちより年下でありながら警部補相当である。(俺と寛は巡査部長)
その創設には様々な思惑が働いていて、曰くそれを知るのは上層部と一部の刑事のみ、とされている。
何でも数十年前とある事件が発生し、それに”人ならざるもの”が深くかかわっており、それを警戒した当時の警視庁によって設立されたらしい。
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