3、リンカーネイション

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ちなみにこれは”寛が聞いた噂話”であって、信憑性は疑わしい。だが今となっては俺も信じてしまう、いやもしかしたらそれが真実かもしれない。 もしかしたら高山と雨井もそれに何かしら関わっていたのかもしれない。それとも”生き証人”か。 そんな、俺たち普通の刑事とはあまり関わりのない部署が今回、俺たちに捜査協力を求めてきたのだった。 「ここが特犯係の係室か。にしたって、こりゃ随分遠いな……」 俺たちの第3係の係室から10分ほど掛かって、この部屋に着いた。扉には【刑事部特殊犯罪捜査係】とある。 「これだけ離れているとはな。やはり色々と複雑な事情があるのか……」 「なのかもしれないな。とりあえず入ってみるか」 寛に促され俺はドアをノックする。奥からどうぞ、という声が聞こえ俺たちは扉を開けて部屋に入った。 そこは、ごく普通のオフィスといった感じだった。3つの机がありそれぞれに書類やパソコンが乗っている。さらに本棚も綺麗に整頓され、きちんとナンバリングもしてある。どこかの部屋のように散らかったり趣味のものも置いてない。 そして近くにソファが向かい合って置いてあり、真ん中にはテーブルがある。そこに1人の人物がこちらを向いて座っていた。 灰色の髪をオールバックにまとめ、目元には深く刻まれたしわ。まさしく今までの経験を物語るようだ。目つきは普通だが、あの目で睨まれたら怯んでしまいそうだ。 すると彼は立ち上がり、俺たちの方へ歩いてくると、 「君たちが捜査協力してくれる刑事さんたちか。私は柴田、警部だ。今回はよろしく頼むよ」 「い、いえ!こちらこそ!あ、自分は捜査1課第3係の関根です」 「同じく第3係の槙田です」 俺たちは慌てて挨拶を返すと、彼は微笑む。どうやら刑事の中でも”かなりまともな方”だ。俺は心の中で安堵する。 すると彼は早速で悪いが、と言うと、 「今回の事件はストーカー被害、のようだがどうも普通ではないようでな。知り合いの刑事が聞いたところでは被害者の女性は”姿が見えないのに足音が聞こえてくる”らしくてな」 「ストーカーですか、放っておくと大変ですからね」 「足音だけ、というのが気になりますが」 「そこで今から女性に話を聞きに行く。いいか?」 柴田警部の言葉に俺たちははい!と返す。それに彼は黙って頷いた。
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