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最悪だ…
10月末の文化祭…
オレのクラスは仮装してハロウィンカフェをすることになった。みんなはミイラ男とか魔法使いとか悪魔とか。オレの仮装は吸血鬼だったはず…
それなのに…
「いい!高橋くん!サイコー!!」
「…」
「超!カッコいい!」
「……」
「写真!写真とるから、目線こっち!」
「………」
「あっ!高橋君!この刀もって!」
「…………」
なんで…
「…なんでオレだけアニメキャラなんだよっっ!!」
「あっ、その怒った顔も素敵!!」
「…」
大好きなアニメキャラにオレを変装させたのは、この学校で人気の美女子だ。オレも結構好きだった。けど、こんなオタクだったとは…
「ありがとう、高橋君。もう思い残すことは無いよ。」
「は?」
イラついて聞き返すと、彼女は申し訳なさそうに言った。
「私、明日引っ越しするの。だから3組のみんなにたのんで高橋君だけ私の好きなように仮装させてもらったの。」
そう言ってにっこり笑ってオレに服を差し出した。
「これがホントの高橋君の衣装だよ。」
オレが服を受けとると彼女は振り返る事なく教室からさっていった。
そういう理由があったなら仕方ないか…
怒りもおさまって、渡された衣装に着替えた。
………
「…って、コレも何かのアニメキャラだろー!!」
ガラガラガラっ
「trick or treat」
満面の笑みで教室のドアを開け、お菓子をもっている彼女。
「……」
お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ…?
イタズラ?オレに?ってか仮装してるのオレじゃねーか!
「っっ逆だろっーーーー!!」
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