声優

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 嫌だな、それ。  テレビとかではよく見ることなんだけど、実際自分の身に降りかかられるなんて、正直想像もしたこと無い。  だけど自分がこういう芸能界よりの立場になると、マスコミ対策とかを先に考えちゃう自分が嫌だ。  まず家族の心配をしてた純真な頃の自分に戻りたいなぁ……なんて。  ドアノブに手をかけた。  椅子からここまで、僅かに五秒。  まったく、自分でもよくこれだけごちゃごちゃと考えが回ると思う。  ぐりっと捻って、外にいる人の顔を見た。  マネージャーだった。  ……ちょっとだけ意外だった。  このワガママだけは文句を言われたことがなかったから、今までこの時間にマネージャーがノックして集中力を乱したことなんて無かったからだ。 「マネージャー……あの、なにか?」 「ごめんね、ゆきちゃん。あのね、これ、ファンの子からって」
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