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私とそう歳が違わない、可愛いっていっても通じそうなマネージャーからの、控えめな声。
その手には、ビニール袋が一つ。
「え、でも……」
「ごめんね、集中力乱して。でもね、これだけは、今渡したくて……」
それだけ言って、ほとんど私の手に押し込むようにそのビニール袋を押し付けて、マネージャーはドアを閉めて去っていった。
そして私は一人取り残された。手にはさっき押し付けられたビニール袋。
コンビニとかで配られる、何の変哲も無いもの。
どうしよう……
一瞬そんな考えが頭をよぎる。
いきなり何の前触れもなく大事な集中する時間に、マネージャーから手渡された、ファンからのビニール袋。
開けようか、開けまいか。
正直、あまり気はのらない。
そういうの全て遮断して、ただキャラを演じるだけの機械へと身を投じるための必要な時間。
だけど、気にならないわけでもない。
ごめんね、って。あのマネージャー――ひろちゃんが、ごめんねって、2回も謝ってた。
――あんなに謝る娘だったかな?
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