声優

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 昔はよく笑ってた気がする。  冗談なんかもよく言ってたし、ドジだったけどそれが周りの空気を和ませる、ムードメーカー的な存在だったはずだ。  いつの間に……変わったんだろう?  改めて手の中のビニール袋を見つめる。  そのひろちゃんが、私の必要な時間を割いてまで、謝ってまで渡した、ファンからのプレゼント。  ほとんど無意識に私は、そのビニール袋に手を差し入れていた。 *  私は目を丸くして、控え室の前に立ち尽くしていた。  呆然とするなんて随分久しぶりだと思う。  そう考えると、私はこの頃ずっと、不測の事態ってやつを避けて生きてきた。  何でも事前、アポなしは断って、仕事は必要最低限の時間だけスタジオ入りして、終わったら直帰。  そんなんでよくこれまでやってこれたものだ、と今さら呆れる。  呆然としてるのは、手にしているもののせい。
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