声優

17/19
前へ
/19ページ
次へ
 丁寧にピンクの可愛らしい封筒が使われた、私の名前まで書かれた丁寧なもの。  ハート型のシールを外し、中身を出した。  同じくピンクの、桜のマークがあしらわれた便箋。  それを開き、目を通す。  女の子らしい丸っこい文字が、そこにはあった。 *  私は改めて、今日の仕事の脚本を見直していた。  今回の内容は、いわゆる感動系のものだった。  ヒューマンドラマ的なものを萌え絵にのせて発信し、露骨なお涙頂戴的な音楽がのせられるという演出がなされる。  それが今の私には、酷く胸を打つ内容に思えていた。  改めて見直す、そのキャラの葛藤、決断、行動。  そしてそれが引き金となる、悲劇の連鎖。  押し寄せる怒涛の展開に、それでも負けない主人公と、ヒロインの二人。最後は登場するキャラ全部叫ぶ、泣く。  そりゃもうぼろぼろ泣く。  それに私自身、胸が苦しくなるほど感情移入させられていた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加