声優

9/19
前へ
/19ページ
次へ
 それがプロというものだろう。  実際、色々話を聞いているとそういう風にやっている人もたくさんいる。  みな、完全にとは言わなくてもどこかしらキャラを”演じている”。  だけど、”私は”ダメなのだ。  もう、疲れてしまった。  色々な煩わしいことに。  ――いやだいやだいやだいやだ――  マネージャーがこの仕事を持ってきて、脚本に目を通した時、決心した。  もうこの仕事は、やってられない。  あまりに狙いすぎな、その内容。  私自身アニメが好きだったから、たくさん見てきたからこの仕事を選んだ。  それに売れるようになってからは、より多くのシナリオに目を通すようになった。  だからこの業界全体が、見ている人萌えとか燃えとか感動とか、そういうものを”露骨に”求めている現状が、もう耐えられないのだ。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加