7人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんなに、引っ張るなよ」
「ハアハアハア」
「待てよ、マックス」
振り返ると、マックスが宏二の手を離れて走って来た。
「マックス君久しぶり!あの時はありがとねー」
ちぎれそうなぐらい尻尾を振るマックス。
「あれ?おばさん…何か感じ変わった?」
(ほらきた、へへ、どうよ?)
双葉は、ドキドキする気持ちを必死に抑えて心の中でそう言った。
「髪切ったんだ…違う人みたいだな」
(何よそれ?)
「マックス君が気づかなかったら、通り過ぎてた?」
「わかるよ。人混みの中に居ても見つける自信有る」
「そういうセリフは、恋人に言いなさい」
「てか、偶然何度も会うなんて、俺達縁が有るのかもな」
「だから、そんなセリフ、オバサンに言ってどうすんのよ」
「今日は、そんなにオバサンぽくないし」
「若作りって事?」
オバサンぽくないと言われて嬉しかった。
(でも、無理して若作りしてるみたいに見えたら嫌だな。気をつけよう)
「ウチのお袋より若い」
「お母さんおいくつ?」
「45」
(やだ、あんまり変わんないじゃない)
ショックだった。
それでも彼に惹かれて行く気持ちを、自分でも止める事が出来ない。
「あ、そうだ。はい、マックス君。こないだのお礼」
もし会えたらと、バッグに入れていたビーフジャーキーを出した。
「俺も腹減った。又ね、おばさん」
「又ね…」
(って、又会うのかしら?)
又会えるのだろうか?
又会いたい、と双葉は思った。
でも、そうそう偶然が重なるとも思えなかった。
(ああ、でも、ここはマックス君の散歩コースみたい…だからって近くに住んでても全然会わない人も居るわよね)
電車に乗ると、メールが来た。
「オヤツありがとう、U^ェ^U ワン!」
「どういたしまして(=´∇`=)にゃん」
(何が「人混みの中に居ても見つける自信有る」よ…何が「縁が有るのかもな」よ…恋人が居るくせに)
その夜、いつものようにブログを読んだ。
気になる記事を見つけた。
最初のコメントを投稿しよう!