第3章 夢なら覚めて、覚めないで

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【三枝家】 「朝帰り…」 夫も娘も居なくて良かったと思った。 家に帰っても、まだ昨日の出来事が信じられなかった。 夢なら早く覚めて…でも覚めないで、という感じだった。 三ツ矢に告白された事など、すっかりどこかへ飛んでいた。 宏二と次の約束はしていなかった。 いつもは、別れた後すぐにメールか来るのに、今日は来ない。 (あれで終わりなのよ…きっと) 涙が出て来た。 (何で泣く事が有るのよ。若い男に遊ばれただけじゃない) 涙が止まらなかった。 (ツインソウルの涙?) 「神緒洸貴さんのブログ…有った」 〈ツインソウルは、涙が勝手に溢れて流れてくる〉 〈ツインソウルは、本当に良く泣くよね。僕は、普段は滅多に泣かないんだけど、ツインソウルの事になると、自分ではコントロール出来なくて…〉 〈長い魂の旅の中で「どうして今迄巡り会えなかったのか」って、魂が泣くんだ。時を越えて巡り会った時、魂が泣く…それがツインソウル〉 〈ツインソウルは、双子の魂だから、共通点が多いね〉 〈食べ物の好みが同じだったり。僕達は、初めてのクリスマスプレゼントに、お互い何にしたら良いかわからなくて、自分の好みのアンティークの腕時計にしたら、相手も同じだった〉 「へー…今回も何も聞けなかった…あ、手や爪の形、見比べるの忘れた」 (あーでも、一緒に呑んだ記憶も無いからな…) もしかしたら、もう聞いたのかも知れないと双葉は思った。 (ああ、残念。何で覚えて無いのよ!今度会ったら、手と爪をちゃんと見なきゃ) でも、もうこれっきりかも知れないと思った。 いつものように、別れた後にメールが来ない事が気になっていた。
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