第4章 まさかツインソウル?

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【宏二の部屋】 引っ越しの車が来て荷物を運び込んでいる。 全て運び終えると、宏二は箱を開けて片付け始めた。 「ねえ宏ちゃん。これ、どこ置く?」と、彼女が聞いた。 「その中に入れといてくれれば良いよ」 「私もここで一緒に住もうかな?」 「ウザいからやめろ」 「何でそういう事言うのよ」 一人暮らしは気楽で良いと思っていた。 犬の好きな宏二は、マックスと離れて暮らす事だけが嫌だった。 「ここ犬飼えないの?」 「わかんない。不動産屋に聞いて無かった」 (たまに帰って散歩に連れて行けば良いや、実家はすぐ近くだし) 父親から生活費を振り込まれるけど、足りそうにない。 バイトを探さなければ、と思った。 宏二は、適当に荷物を片付けて町に出た。 【駅前】 買い物を済ませた双葉は、花屋に寄った。 クリスマスらしい鉢植えの花が欲しかった。 「いらっしゃいませ」 店から出て来た店員を見て、目を疑った。 「何で、ここに居るの?!」 「おばさん」 宏二だった。 「俺、バイト終わる時間だから待ってて」 「うえっ?え?ちょっと、勝手に」 「良いじゃん」 成り行き上仕方ない。 双葉は、宏二が帰りの支度を済ませるのを待った。 【ファミレス】 「ちゃんと噛んでる?もっとゆっくり食べなさいよ」 つい、いつも娘に言うように、そう言った。 宏二の手が止まった。 「何か…お母さんみたいだな」 「そりゃ、お母さんと変わらない年でしょうよ」
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