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【居酒屋】
「そんなに気になる?もしかしたら、そのタロットの運命的な出会いの相手とか思っちゃってない?」
「まさか!そんなんじゃないわよ」
(あんな若い子が運命の相手だなんて…)
「だって、さっきからその子の話しばっかしてるじゃない」
「何かね、馴れ馴れしい子だったのよ。でも、何であんな事初対面の子に話しちゃったんだろ?私」
「ストレス溜まってたんじゃない?」
「初めて会った気がしなかったのよね、昔から知ってる子みたいだった。何か懐かしい感じがしたのよ」
(何で懐かしいんだろう?不思議…)
「おう、いらっしゃい」奥からオーナーが出て来て言った。
「双葉。今日は呑んでて良いのかよ?」
彼は、2人の同級生の三津谷。
「主人は出張だし、娘はお婆ちゃんの家に行ってるから良いのよ」
「こんな時じゃなきゃ、呑みに来れないもんね、双葉は」
「友美は良いわよね、自由で」
「うちのも今頃どっかで呑んでるからね」
友美は結婚が早かったので、子供は成人して家を出ていて、夫と2人で暮らしている。
(夫の前にも何人か恋人は居たのに、何であんなのと一緒になっちゃったんだろ?でもまあ、今は娘が居るからね)
(娘さえ居れば私は幸せなのよ。今更恋愛なんてね…私に限って無い無い)
この時まだ双葉はそう思っていた。
それでもふと気がつくと彼の事を思い出す毎日。
(犬の散歩をしてたんだから、あの近くに住んでるのよね)
それからちょくちょくあのスーパーに買い物に行くようになった。
あの路地を歩くとドキドキした。
犬を見かけると、マックスではないかと思ってドキドキ。
(何やってるんだろう?私…)
テレビでソウルメイトに関する番組を見た。
「ソウルメイトね…」
(彼は私のソウルメイト?何でこんなに気になるのよ?1回会っただけじゃない)
(ソウルメイトならあれで終わりじゃないでしょう。だいたい魂なんて本当に有るの?)
ソウルメイトの事をネットで調べたりした。
(ふーん、そういう相手が居るんだ…そりゃそういう人と結婚出来れば良いだろうけどね…)
(皆んなが皆んなそういう人と結婚してるわけじゃないのよ。妥協して結婚するのが殆どでしょう。私なんか、わけがわからないうちに結婚させられてさ…それで15年よ)
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