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そんな毎日のある日、洗濯をしようとしても洗濯機が動かない。
「故障かしら?」
(結婚した時から使ってるんだもん、もう寿命か)
【家電量販店】
(へー、やっぱり新しいのは良いわね。毛布とかも洗いたいし、大きいのにしよう)
洗濯機を買って店を出ようと通路を歩く。
携帯電話のコーナー。
「おばさん」
あの時の青年だった。
ドキッ!とした。
心臓が破裂しそうだった。
「携帯壊れちゃってさ」
「私は、洗濯機壊れたのよ」
「いつ?」
「今日」
「俺も今日」
青年の笑顔が輝いて見えた。
「スマホにしたんだ。おばさんのは?」
「スマホだよ」
「見せて」
「これ」
「同じ会社だ」
「あ、何してんの?!」
「俺の番号入れた。電話代タダじゃん、かけてよ」
「何でよ」
「良いじゃん、あの時助けた恩人だし」
「恩人は、マックス君でしょう?」
「俺の犬だし。俺とマックスが通らなかったらどうなってた?」
「それはそうかも…お昼おごるわよ」
「良いの?」
「お礼だから」
「やった!」
そして2人で食事をした。
彼は三条宏二、22才。
「何か、京都の地名みたいな名前ね」
携帯の連絡先に彼の名前を入れた。
「三条小路」
「その字じゃないよ」
「わかってるわよ」
「俺さ、おばさんと又会えないかなーって思ってたんだ」
「何言ってんのよ、オバサンをからかわないでよ、って、オバサンはイヤよね」
「じゃあ、名前は?」
「三枝双葉」
彼と別れて電車に乗ると、メールが来た。
「さっきは、ごちそうさま、ありがとです♪(o^^o)」
「いえいえ( ´ ▽ ` )」
それから双葉は、彼からメールが来ないか、そればかり気になった。
(メール来ないな…電話かけてよ、って言われたけど、かけてどうすんのよ?こっちからかけられないでしょう)
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