第2章 絶対キレイになってやる

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シャワーを浴びながら考えていた。 なんとかこの辛い夜を逃れる方法は無いだろうかと… 寝室に戻ると、夫はイビキをかいて寝ていた。 双葉は、そんな夫の姿を見て、部屋の入り口で立ち尽くしていた。 同じベッドで寝るのが嫌だった。 (今日は、若葉の部屋で寝よう) 2階に上がり娘の部屋に行くと、明かりがついていた。 「若葉、まだ起きてたの?」 「今、パーティー入ってるから、このダンジョン終わるまで抜けられなくて」 「何のパーティー?」 「ゲームだよ。4人でパーティー組んで戦うの」 「わけがわからない」 「お母さんゲームしないもんね。友達のお母さんとかやってるよ。可愛いキャラ作って」 「ふーん」 この時はまだ興味が無かった。 オンラインゲームなんて、やった事も無かった。 翌日娘の部屋を掃除していて、パソコンを見てふと思った。 (ゲームって、チャットしながらしてたわよね、危なくないのかしら?) ドラゴン王国。 双葉は、娘が心配になり、ゲームを開いた。 「何これ?」 何とかマイキャラを作った。 (名前どうしよう?受け狙いにしようかしら?それともカワイイのが良いかな?) (オバサンパワー?焼酎大好き?そんな名前の馬が居たっけ?あれは「サケダイスキ」だったか。うーん…) 「プルメリア」 好きな花の名前にした。 グラフィックが読み込まれて行く。 ゲームが始まった。 「え?何?」 (とりあえずナビゲーターの言う通りにやれば良いのか) チュートリアルが終わった。 (ミッション?魚釣りか) 「あ、誰か話しかけて来た」 (フレンド登録?いきなりは嫌よ。拒否) (沢山人が居る…) 吹き出しにチャットの文字。 (皆んな何言ってるかサッパリわかんない…まるで宇宙人) また誰かに話しかけられた。 意味がわからないので聞いてみた。 (ああ、なるほど。文字数が限られてるから、略してるのね) (あ、マックスだって、宏二君の犬と同じ名前。あ、行っちゃった) マックスを追いかけたけど、マップ移動で見失った。 「あーあもう居ない…あ、こんな時間」 (さて、そろそろ出かけますか)
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