7人が本棚に入れています
本棚に追加
『姿もなにも、さっきからこっちにおるがな!』
立ち尽くす狭いゴミ溜めの部屋を見渡す…が誰もいない。どこだ? 玄関か!? いや、便所か!
天の声の主は便所にいた。
い、一体いつの間に!?
「やあ~どうも!お疲れ」
うあわわあわ!ピャーッ!?
な、な、なんだ!?
ぼ、坊主の…おっさん!!……
ーー突如現れたそいつは、スキンヘッドに上半身裸のおっさんだった…。
ふぅー息が止まりそうになったぜ。
(いや、もう止まってたか。にしても、こいつは誰なんだよ…こんなやつこのアパートにいたか? いや、もしかすると大家か。)
「こんにちはー…」
大家は家賃の督促電話で声だけでしか知らない。まさか、死んだ後まで家賃の取り立てって事はないよな。
(いやいや、大家は関西弁だったっけか? というより、こいつ俺の姿が見えている…)
「なぁ、聞いてるか?」
「あ、いや…え、大家さん…?」
「なわけないやろ! ちゃうわ! ワシはピコピコおぢさんじゃ!」
そう叫んでいるそいつは俺の御遺体を押しのけ、代わりに便座に座っていた。
(ピコピコおじさん…? はぁ? って! お、俺の亡骸ーッ!)
バスタブに頭から突っ込む形で倒されていたが、腐りきっていた所為で、くの字に折れた体が引きちぎれ、腰から下は床に転がっていた。
「な、な、なんてこと…」
「あ、すまん。すまん」
いやいや、すまんではすまんだろう。なんでこんな最期…
いや、それより、何故こいつは俺が見える? 俺は死んでいるはず…
「お前…いえ、あなたはどこから来た? 一体何者なんだよ?」
そんな俺の問いかけに返ってきたのは、この展開では、さほど以外でもない答えだった。
「…神です」
最初のコメントを投稿しよう!