プロローグ

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孤独死ってやつだ。にしてもだ、まさか、自分がな……。 まだ40代だったんだが、普段の不摂生が祟ったのだろう。この有様ってわけで。 生活はと言えば、もうお察しかもしれんが、毎日、毎日ただ生きる為に働き、かと言って、仕事も出来ない俺は、これといって自慢できるもんなど一つも無く……。 そんなわけで、学歴も職歴もない俺は、真っ当な職に就けたことさえ無く、バイトでなんとか食いつなぐ日々。 30代。何かここらで一発と思いながら、早十数年。 何のチャンスもモノにできないままに、俺は死んだ。 借金まみれで、もはや、家賃も払えず、いわゆる金融ブラック。 そして、賃貸ブラック。 この約一週間前など、部屋にローソク1本。いやこれ、何かを祝っているわけでも、供養しているわけでもない。そう、ただ電気を止められていたってだけで。 俺にとって最後となったこの三畳一間のワンルームアパートでさえ、すでに、もう関の山だったというわけだ。 せめてもの救いは、まだ、ダンボールか古新聞の上でなかったという点だけだろう。 いやむしろ、その方が幾分世間体を気にするなら悪くはない。誰の目にもつかぬ個室よりはマシかもしれん。 便座の上だが、身も蓋もないとはこれだ。 実に、アパート住まいでは、隣家のコミニティーは皆無と言っていい。 ここのボロアパートの住人は異臭が出てさえも素知らぬ顔で過ごすだろうかーー
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