プロローグ

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兎にも角にもだ。状況としては、どうも俺が死んで、そんでもって死んだ俺から、俺が魂となって脱け出たって感じか。 っていうかだ、実際、自分でも今の状況があまりよくわかっていない。 いや、そうだろ。だいたい死んだ事なんて、これが初めてだ。 要はあれだろ。霊ってやつだろこれは。 今日だったか、昨日だっただろうか、突然、目の前の俺、即ち、この俺の死体から分離した。冷蔵庫の紅茶○伝のようにな。 (ああ、あのミルクティー、飲むの忘れてたな……って、まあ、んなもんはどうでもいい) そもそも、幽霊になったところでは、喉も渇きはしない。 そんな事よりも、だ…… (いやしっかし、これには驚いたぜ。まさか本当に死後の世界があったとはな……) それも、現実世界のまま、意識もそのままにある。現に俺は今、こうして死んだ後も、まだ自分の部屋にいるんだからな。 いわゆる地縛霊とかの類か。そりゃまあ、こんな死に方すりゃ俺も浮かばれないぜ。 自分の抜け殻ばかり観察していても仕方あるまいと、ここからの脱出を試みてはみたが、どうやら部屋の中の扉はすり抜けれても、玄関から先には出る事が出来ないようだ。 (地縛霊ってわけか。つっうことは、あれか……やっぱ、成仏かなんかするまでは、このままって事か……)
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