プロローグ

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『姿もなにも、さっきからこっちにおるがな!』 立ち尽くす狭いゴミ溜めの部屋を見渡す…が誰もいない。どこだ? 玄関か!? いや、便所か! 天の声の主は便所にいた。 い、一体いつの間に!? 「やあ~どうも!お疲れ」 うあわわあわ!ピャーッ!? な、な、なんだ!? ぼ、坊主の…おっさん!!…… ーー突如現れたそいつは、スキンヘッドに上半身裸のおっさんだった…。 ふぅー息が止まりそうになったぜ。 (いや、もう止まってたか。にしても、こいつは誰なんだよ…こんなやつこのアパートにいたか? いや、もしかすると大家か。) 「こんにちはー…」 大家は家賃の督促電話で声だけでしか知らない。まさか、死んだ後まで家賃の取り立てって事はないよな。 (いやいや、大家は関西弁だったっけか? というより、こいつ俺の姿が見えている…) 「なぁ、聞いてるか?」 「あ、いや…え、大家さん…?」 「なわけないやろ! ちゃうわ! ワシはピコピコおぢさんじゃ!」 そう叫んでいるそいつは俺の御遺体を押しのけ、代わりに便座に座っていた。 (ピコピコおじさん…? はぁ? って! お、俺の亡骸ーッ!) バスタブに頭から突っ込む形で倒されていたが、腐りきっていた所為で、くの字に折れた体が引きちぎれ、腰から下は床に転がっていた。 「な、な、なんてこと…」 「あ、すまん。すまん」 いやいや、すまんではすまんだろう。なんでこんな最期… いや、それより、何故こいつは俺が見える? 俺は死んでいるはず… 「お前…いえ、あなたはどこから来た? 一体何者なんだよ?」 そんな俺の問いかけに返ってきたのは、この展開では、さほど以外でもない答えだった。 「…神です」
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