1人が本棚に入れています
本棚に追加
突然走りだす愛犬。つられて走り出した少女の先で、それに驚いた純白の鳩たちが空へと羽ばたいた――その跡に、
「お父さん、お母さん……」
異能戦争で亡くした両親がいた。
すぐに気づく。これはBの異能『降霊』によるものだ。
しかし、彼の異能には弱点があった。2つ以上の霊を呼び出すことは不可能。もしそれをすれば能力を失ってしまう。
これではもう彼は……。
「気にすんな。戦争が終わった今、こんな力もういらねぇよ」
そんなAの心情を読み取ったのかBは無邪気に微笑んだ。
「B……」
様々な感情が渦巻く中、両親を真っ直ぐに見つめる。
私のせいで死なせてしまった両親。その顔は優しく微笑んでいた。
なにも気にしなくていいんだよと。
ずっと謝りたかった。
でも、2人の顔を見て伝えるべき言葉の間違いに気づく。
「ありがとう……B……守ってくれて本当にありがとう……お父さん、お母さん」
最初のコメントを投稿しよう!