第1章

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突然走りだす愛犬。つられて走り出した少女の先で、それに驚いた純白の鳩たちが空へと羽ばたいた――その跡に、 「お父さん、お母さん……」 異能戦争で亡くした両親がいた。 すぐに気づく。これはBの異能『降霊』によるものだ。 しかし、彼の異能には弱点があった。2つ以上の霊を呼び出すことは不可能。もしそれをすれば能力を失ってしまう。 これではもう彼は……。 「気にすんな。戦争が終わった今、こんな力もういらねぇよ」 そんなAの心情を読み取ったのかBは無邪気に微笑んだ。 「B……」 様々な感情が渦巻く中、両親を真っ直ぐに見つめる。 私のせいで死なせてしまった両親。その顔は優しく微笑んでいた。 なにも気にしなくていいんだよと。 ずっと謝りたかった。 でも、2人の顔を見て伝えるべき言葉の間違いに気づく。 「ありがとう……B……守ってくれて本当にありがとう……お父さん、お母さん」
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