第1章

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3.何を環境活動の基準にすればいいのだろう?  生物多様性にとって何が役に立つのかは、私にもよくわかりません。私のように環境を仕事にしていて、環境関係の書籍や雑誌を読んでいても難しいのです。一般の人に、よくわからないのは当然だと思います。 最近、野良猫が増えて生物多様性を害しているというニュースを聞きました。貴重な植物や昆虫を食べてしまうから、外来種であるネコを駆除すべきだといっていました。理論的にはその通りですが、気持ち的には簡単に受け入れられません。我が家で飼っているネコは時々外に出かけていきます。そんなことが、生物多様性を害することになるのでしょうか。昔からネコは里山の中で共存してきた筈です。今さら、そんなことをいわれても困るというのが本音です。 このニュースから読み取れるのは、生物多様性の問題は結構身近にあるということです。山奥の話ではなく、皆さんの身のまわりの話です。 多くの人にとって、環境問題に対して貴重な時間とお金を費やすわけにはいかないでしょうし、書籍を買って読もうとしても、それが正しい情報なのかどうかがわからないと思います。本屋に行けば、とんでもない理論の本が、とんでもないという理由だけで売れているのを見ると思います。本の出版とは、99%の人がありえないと思っても、1%の人が正しいと思って買ってくれれば成立する商売です。真っ当な議論を真摯に書いても、面白くなければ売れませんが、変わっていれば売れるのです。
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