第1章 伸二の後悔

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(「俺だってシュートが打ちたいよ」) 試合の帰り道、一人電車に乗る伸二は、自分の不甲斐なさを棚に置いて自分を責めるチームメイトの事を恨んだ。 この大会まではチームに貢献してきたし、チームメイトとは理解しあえていると自負していたからだ。 伸二の高校生活は決して不遇ではなかった。 中学時代、県の選抜メンバーにも選ばれていた伸二は、県内でも屈指のサッカーの名門校へ進学、持ち前の得点力が評価され、1年生からCFとしてレギュラーで試合に出ていた。 啓介とは、中学の選抜時代からの付き合いで、自分を一番理解してくれていると思っていたから、自分のミスを指摘されたショックも大きかったのだ。 (「あの秋の練習試合さえなければもっとやれていたはずなのに・・・」) 選手権大会を控えた10月の練習試合、啓介から絶好のシュートチャンスを得た伸二だったが、ゴール前でキーパーと交錯しそれ以来ゴール前に入るのが怖くなっていた。 伸二のその後の状況は、啓介もよくわかっているはずだった。 「ちくしょー、こんなはずじゃなかったのに!!」
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