第1章

12/25
前へ
/25ページ
次へ
「今日は文化祭の準備があるからとかで特別に図書室を共有しているのであって俺が手芸部のパシリする理由は皆無だ。欲しいなら自分でとったらどうなんだ?」  そう言って真帆驢馬を否めようとした。 「ちっ、呪われろ!このトリ人間!」 ――ムダだった 「名前がウズラだからってトリ人間にはならないよ。羽でも生えてりゃ別だけど」 「ウッサイ!貴様といるとなんかこうイライラするんだ。要がないならどっか行け」 ――横暴だ  彼女はそう言って俺が座る本棚の踏み台の横から手を伸ばして手芸用の本一式を強引に引き抜いていった。  図書室にはうちの読書部員三人と真帆驢馬の手芸部員四人の七名しかいなかった。担当顧問はどちらも掛け持ちなので一緒と言う何とも偶然が過ぎる話である。  俺と真帆驢馬は二年の初めに三年から部長の座を引き渡され現在はその部員数の少なさからこのような吸収合併が成立したのだ。  不本意と言えばそうなるが春に新入部員が来なかったのは読書部だけだったこともあり、ただ一人の新入部員を獲得した手芸部の御世話になる事となった。  うちの学校は関東県内では御世辞にも大きいとは言えない広さで、唯一文化部の活動が盛んと言う以外に特徴がない。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加