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「そろそろか?」
中国人が不意に取り出した懐中時計を見てそんな事を口走る。
「昨日、君は何をしていたかな?」
そんな事を訊かれた俺は普通に答えた。
「部活してた。それが?」
「あの娘に感謝しろ。これはお前の(はつたいけん)初対面だ」
「何が?」
「後ろの異変に気付かないのか?」
そう言われ俺は言われるがままに周りを見渡した。
確かに変だ。
人の動きが全く感じられない。
人の声や息も聴こえない。
確か今図書室には真帆驢馬とこの中国人と俺以外にもあと五人いたはずだ。
――俺ら以外に他の誰も居ないのか?
そう感じて、俺は図書室の窓際から立ち上がりそこから少し行った広間の方に顔を覗かせる。
誰一人としてそこには動いている部員は居なかった。
――いや止まってる。
誰一人としてその場から動こうとせず只呆然と立ち尽くす。
俺は部員の一人に声をかけた。
――反応はない
すると更に異変が起きた。
部員がワナワナと震えだしたのだ。
なにかにおかされたかのように身体を震わせる彼等に更なる異変が起きる。
背中が割れだしたのだ。
制服をバリバリと引き裂いて生肌の背から皮膚を突き破るように何かが生えてきた。
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