第1章

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 それはまるで蝶の蛹から蝶へと変貌するかのような瞬間と酷似した。  五人の背骨がゴリゴリと嫌な音を立てる。  その場に停止した五人の背中から白い何かが出てきた。  全身真っ白で、体毛はなく、耳は獣のように反りたち、口は獣のように避け、身体が鞭のようにしなり、眼は白目がなく薄暗い深淵のように黒ずみ、背中には鳥の手羽先のような物が生え、人間に近い骨格をした物体が人間の中から這いずり出てきたのだ。  俺は思わず叫ぶでもなければ驚くわけでもなく、ただ何かがソコで生まれたことだけ確かだったと言うように頷いた。  実際訳がわからなかった。  しかしそんな事を言っては居られなくなるのは次の瞬間分かった。
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