第1章

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++++++++ 言い掛かりに聞こえたのだ。  そう、あの中国人にとっちゃ俺の事なんか何かのついでか只の利用価値の一貫だったに違いない。  あの昼休みの対談のあと既に俺が準備しといたシナリオが少しずつ動き始めていた。 「ノーデンス。もうそんなに時が経つのか……」 「何が経つんですか?」  人が職員室で昼食の頭脳パンを食べていると後ろの方から元気な声が聞こえた気がした。 「ねぇねぇ何が経つんですかぁ~、教えてくださいよ、センパイ~ぃ」 ――無視してやる。 「今日の正門前の火柱事件で校長が教育会議で話題にならないか不安がってましたよ~ぉ、やっぱりセンパイも気になるんですよね?」 ――無視してやる 「そんな態度とっても無駄ですぅ、世間が許しても私が許さん! ねぇねぇ何かないんですか~ぁ面白い話ぃ?」 「……下らない」 「へ?」 「笹傘伊予子(ささかさいよこ)、君は少し教師らしい態度がとれないのかい?」 「ワタシ、教師ですが何か?」  笹傘伊予子、この学校に今年入った新人教師である。年は二十過ぎでまだまだ青臭い新米女教師だった。 「その態度がどうなんだと聞いているんですよ。全く最近の若者と言うやつですか、もう少し落ち着いてはどうでしょうか?」  僕はそう言って彼女を叱る。教師なので同じ背広姿のはずだが彼女のそれはかなり歪に見える。新人はこんなものかとついそう思った。 「だが断る! センパイはどうなんですかぁ~そゆうのもう社会的には死語(しご)ですよーぉ」
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