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「正論を俗語扱いしないでいただきたいですね。下らない話はこの辺で仕事してください」
全く若者の扱いは難しい。
適当にあしらえばすぐ別の話題を求めてくる。それをまたあしらえばまた別の話題と話の尺は伸びるのを辞めない。
「そいえばセンパイ、ノーデンス事件についてどう思いますか? 中国で起きた謎の怪死事件、今だ原因は知れず。なかなか面白いってネットじゃ話題で中にはノーデンス教なんてのもあるとかで……」
「――愚かだね」
「はぃ?」
「愚かだと言ったんだよ。人間の若者はたまに流行りに載るとすぐ自分の回りにもそれを広めようとしたがる。職場を何だと考えてるのか」
「センパイそんなだから周りから嫌われてんですよ」
「今その話は関係ない!仕事に戻れ!後輩教員」
「はぁい……センパイ?」
「まだなにか?」
「イライラしてません?何かありましたか?」
「ほっといてください!」
僕がそう言って職員室を出ようとすると何かが扉の前を横切るのを感じて察した。
「まだまだ役者が揃ってないようだ。あの中国人にはもう少し働いてもらわないと」
僕は疲れた声でそう口にしてその場を何もなかったかのように出ていくのだった。
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