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教室のドアを開き僕が教室を出ようとすると異変は既に起きていたようだった。
突然何の前触れもなくそれは始まった。
回りにいた生徒たちは皆一様に固まったまま動かなくなりその場に硬直している。
次の瞬間生徒達の背中からバリバリと嫌な音を発てながら身体を引き裂いて中から這いずり出てきたのは僕がよく知るモノだった。
「ノーデンスが産まれてしまったか。いや、もう既にノーデンスだったのかもしれないね。何にせよこれは今後の事も含めて一度魔界と話をつける必要がありそうだ」
僕は頭を抱えながらそう呟いた。実際この光景が何を意味するかを知っていたからだ。つまり、この場所の終わりを意味していた。
「ノーデンスが産まれれば周りの空間ごと外側のモノに持ってかれる。アレから逃げることができるのか?果たして……」
僕がそう言って頭を押さえた瞬間だった。
周りの生徒達の背中の存在が一斉に蠢いた。
生徒達の背中の裂け目からボキボキと嫌な音と共に鋭い爪の生えた腕が現れた。
腕は真っ白く枯れ木のように細長い。
そして生徒の皮を脱ぎ捨てるようにボタボタと血を滴らせた動体を次々に露にする。
生白く描かれた絵画のような無機質で陶芸品の様な光沢の動体が僕に向かってくる。
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